会社が駆使するテクニック

残業代が支払われないという、いわゆる「サービス残業」の問題は、今でこそようやく声高に叫ばれるようになっていますが、実際のところ、長きにわたって「問題にすらならなかった」というのがこの問題がより深刻化している最大の理由になっています。そして、これだけ長い間、この問題がタブーとされてきたのも、単なる「日本人の勤勉性」だとか「日本人の国民性」だとか、そういう目に見え、肌で感じることができる部分だけが理由となっているわけでは決してありません。
 むしろ、サービス残業の問題にだれもが口をつぐんでいた最大の理由は、会社側のほうにあると考えるべきです。つまり会社側は、「残業代を支払わなくてもよいようなテクニック」を駆使していたのです。

 

 もちろん「サービス残業の強要」は、労働基準法にそむく行為ですから、そんなものに「テクニック」などと高等な発想を付帯すべきではないような気もしますが、しかし実際のところ、そう言って過言でないようなあの手この手を尽くして、残業代を支払わなくてすむような手続きを踏んでいるのです。
 その「テクニック」の中で一番多いパターンが、「時間によらず、一律に残業代を支払う」という、多くの会社でとっている手法です。これにより、「支払わない」のではなく「支払っている」と解釈させることができ、会社に対して文句を言いづらい状況を作り上げているのです。

 

 しかし、それも立派な「違法行為」です。そんなことで会社の言いなりになる必要はまったくないと言えます。

残業代を支払わないですむ方法

 会社は社員に残業代を支払わないですむ方法をいろいろと考えています。そのための「テクニック」として会社側が講じるものには、大きく分ければふた通りあります。そのひとつが「定額型」と呼ばれる方法であり、もうひとつが「労働時間引管理型」と呼ばれる方法になります。

 

 前者の「定額型」の場合、多くの会社が採用している方法ですが、これは、残業の有無にかかわらず、全社員に一律で残業代を支払うというシステムです。超過した分の残業代を請求すると、「残業が少ない月もあったではないか・・・」という言い逃れを使いますが、そういう会社に限ってだいたい「残業が少ない月」などほとんどないものです。そうでなければ、この「定額型」のシステムを採用する意味がないわけです。まあ、会社側の主張を要約すれば、「残業代の管理のためにかかる経費を考えれば、社員に分配する残業代が多少多くなったとしても(!)、トータルでは経費削減につながる」というものだそうですが、これもまた呆れた主張です。

 

 そして、「労働時間引管理型」はもっと悪質であり、社員の労働時間を正確に把握することが難しいという理由で、把握できない部分に関しては残業代を計上しないという手法です。

 

 これはとんでもない発想のテクニックであると言わざるを得ません。その理由は、「会社側は従業員の労働時間を明確に把握しなければならない義務がある」からです。会社として成立するための大前提をはじめから無視した手法を社員に強要する会社など、社員のことを考えているとは絶対に言えない会社です。

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